
「――ギクッ!!!」
・・・ある日のある時、突然腰に激痛が走ってその場に崩れ落ちる。――もしかしてこれって”ぎっくり腰”ってやつですか?!
さっきまで元気だった人が、何かの動作をきっかけに急激な腰痛に見舞われるのを急性腰痛症”ぎっくり腰”といいます。しかし、一度の動作で動けなくなるようなぎっくり腰もあれば、朝痛みが出だして時間とともに痛みが悪化し夕方頃に立てなくなる、という症状のぎっくり腰もあります。
この痛みは経験した人にしか分からない痛みで、ズキズキうずいたり、まったくもって腰が動かせなくなったり、歩けないほどに痛みが走ったりし、腰に手を当て、表情は苦しさと痛さが混じったなんとも痛々しい姿となります。
そう、おそらくあなたはぎっくり腰になってしまったものと思われます。そこで、これからぎっくり腰に対する正しい知識と対策、そしてもう二度とならないためのアドバイスをさせていただきます。
本当に苦しいと思いますが、なんとかがんばって治しましょう。
ぎっくり腰になったらまずはじめにすること
ぎっくり腰になったら、まずはじめにすることは”安静にすること”です。
あなたはまだ動けますか?なんとか動けるのであれば、ゆっくり安静にできるところを探してください。
そして一番リラックスできる体勢になってちょっとゆっくりして冷静になりましょう。
横になるのがラクなのであれば横になってください。寝方も横向きで膝を丸めて寝るのがラクなのであれば横向きで、上向きがラクなのであれば上向きに、うつ伏せがラクなのであればうつ伏せになりましょう。
- 横向きの状態で膝の間にクッションや枕を挟むとラクになる場合もあります。
- 上向きなら膝を立てる、もしくは膝の下にクッションや枕を挟むとラクになる場合もあります。
- うつ伏せなら完全にフラットにしてしまった方がラクになる場合もあります。
寝転ぶのがとてもつらい場合もあります。そういう場合はソファに座る、椅子に座る、クッションを引いて座るなどしてみてください。立っている方がラクだという人はどこかにもたれかかるなどしてもいいと思います。
とにかく”痛みが一番和らぐ体勢、ポジション”を見つけてください。
出先や仕事中になってしまったという場合は、そこに寝転ぶわけにはいきませんので、なんとか自宅まで持ちそうなら頑張ってください。車で送ってもらったり、タクシーで帰ったり、気が張っているのでなんとか動けると思います。
その時ベルトを付けている人は、ベルトをおへその高さでギュッと締めるとコルセット代わりになります。骨盤の高さで締めたほうがラクになる場合もありますので試してみてください。
歩くときの歩幅はなるべく小さくして、手すりなどに掴まりながら移動しましょう。信頼できる人が近くにいれば荷物を持ってもらったり、身体を支えてもらうと少しラクに移動できると思います。しんどいですが休憩しながらゆっくりいきましょう。
温める?冷やす?どうすればいい?
安静に出来ましたか?安静に出来たら一度リラックスして冷静になってみてください。
次に気になるのは、こういう時は温めるのがいいのか?冷やすのがいいのか?どうすればいいの?ってことですよね。
安静にしてもガンガン痛みが強く出ている場合は冷やしましょう。
アイシングの正しいやり方
- ビニール袋(氷のう)に氷を詰める。
- 水も少し入れる。
- 患部の地肌に直接置く。
- そのままにして感覚が無くなるか15分経てば終了。
- 1時間を1クールで見て15分冷やして45分は何もしない。
- まだ痛みが強いようであればもう一度15分冷やして45分は何もしない。
アイシングをする上で必ず守ってください。
- 必ず氷を使うこと
- 地肌に直接氷のうを置くこと
- 時間を守ること
保冷剤やアイスパックなどでは低温やけどの可能性があるのと、冷却効果が落ちます。氷が一番炎症を抑えてくれます。
またタオルなどを挟むとアイシング効果が落ちます。そして15分以上冷やしても効果が落ちます。15分冷やしたら45分は外して休ませてあげてください。
15分冷やしている間に炎症が収まっていきます。そして外している45分間で患部の血行が良くなり痛みの物質が流れていき、修復する物質が多く流れ込んできます。その結果、治癒までのスピードが格段に上がります。
痛みが強い場合はこれを何度か繰り返してあげてください。
その後、少しマシになってきたら今度は温めましょう。ただし、温めて痛みが悪化する場合には中止してください。
少しお風呂に浸かってみるのがいいでしょう。温めることにより血流が良くなり回復力が高まります。
病院に行ったほうがいい?それとも整骨院?
ちょっと痛みは収まってきましたか?ちょっと動けるようになってきたら幸いです。
次は治療を受けに行ったほうがいいのかどうか?が気になりますよね。
今日がぎっくり腰初日で1mmも腰を動かしたくない場合で、もうすでに自宅で安静に出来ているのであれば今日はちょっとゆっくり休まれてもいいと思います。明日になればもう少しラクになっているはずですので、改めて病院なり整骨院なり整体なりに行かれるといいと思います。
どこにいけばどんな治療が受けられるの?
どこに行くのがいいのか、決めるのが即決できる方はいいですがあんまりよくわからないという方のために各治療院の特徴と治療の方法をまとめます。
- 整形外科:医師が診察してくれます。レントゲンで骨の異常が無いか確認後、シップや鎮痛剤、痛み止めの注射などが行われます。場合によってはホットパックや物理療法が行われることもあります。健康保険が使えます。
- 整(接)骨院:柔道整復師という国家資格を持った人が施術してくれます。電気治療やアイシング、手技療法やテーピングが行われます。店によって特殊な治療機械が使われることがあったりハリ治療を行っているところもあります。健康保険が使えます。
- 鍼灸院:鍼灸師という国家資格を持った人が施術してくれます。ハリ(鍼)とお灸による施術が行われます。治療法も各治療院によって違うことが多く、根本的な治療(体質改善)をしてくれるところもあります。健康保険は使えないところが多く自費治療となる場合が多いです。
- 整体院:民間の資格を所有している人や元理学療法士などが施術してくれます。独自の手技療法、骨格の歪みを矯正するような手技が行われます。国家資格ではなく、保険も使えないため、よほど信頼しているセラピストの場合以外、飛び込みで行くのはやめたほうがいいでしょう。
こんな症状の時は病院に行ってください
普通のぎっくり腰であれば、上記のどの治療院に行ってもいいでしょう。いつも行っているかかりつけのところがあればそこに行って診てもらってください。
ただし、ぎっくり腰の中には重篤な病気から痛みが出ていたり、圧迫骨折のようなものから来ている場合があったりと注意の必要なものもあるので以下のような症状があれば、必ず病院を受診してください。
- 足のしびれがひどい。または感覚が鈍い。
- 安静にしていても痛みがますますひどくなってくる。
- 発熱があり冷や汗や血尿が出たり身体がだるい。
- 腰だけでなく、腹部や背中まで痛む。そしてその痛みはますますひどくなってくる。
- 背骨を叩かれるとズキズキと響くような痛みがある。
このような症状は普通のぎっくり腰とは違います。内科的な疾患があったり循環器的な問題がある場合があります。整形外科で異常が無くても婦人科や内科で異常が見つかる場合もありますので受診されることを強くオススメします。
自分で出来る改善方法はないの?
では、自分で出来る改善方法は安静以外に無いのでしょうか。実はそんなことはありません。
むしろ安静にするのは最初だけで少しずつでも動かしたほうが早く治るようになります。
痛みが少し引いてきたらゆっくり体を動かしてみましょう。
- 手首、足首を回してみましょう。
- 膝を立ててゆっくり左右に足を動かしてみましょう。
- 片膝ずつ胸に引き付けてみましょう。
- ゆっくり座りましょう。
- 首を動かしてみましょう。
- 肩甲骨を回しましょう。
- お尻を伸ばしてみましょう。
- 正座して太ももを伸ばしてみましょう。
- ゆっくり立ち上がってみましょう。
- ちょっとずつ動き出してみましょう。
いかがでしょうか。重要なのは、ゆっくり遠いところから動かしていきましょう。決して無理はしないでください。
そして、早く寝てください。ぐっすり休んで身体を回復させましょう。
そもそもなぜぎっくり腰になるのか
では、そもそもなぜぎっくり腰になってしまうのでしょうか?重い荷物を持ったりしたときに痛めてしまうケースもありますが、クシャミをしたり、中腰の体勢を取っただけで痛めてしまうケースも非常に多くあります。
普段だったらあり得ないですよね?ただ前かがみになったりクシャミをするだけでぎっくり腰になってしまうなんて。
実はぎっくり腰になる人にはある共通のことがあります。
それは、”全身の筋疲労”です。
ちょっと思い出してみてください。ぎっくり腰になってしまった1週間から2週間前にこんなことはなかったですか?
- 風邪を引いていた。
- 仕事が忙しくてハードワークだった。
- 寝不足が続いていた。
- 重要なことがあり緊張が続いたりストレスをずっと感じていた。
- 暴飲暴食が続いていた。
- いろんなところに遊びに出かけバタバタしていた。
などです。いかがですか?要は1~2週間前頃から免疫力が下がって、”身体がとても疲れている状態だった”ということがベースになっている人が非常に多いんです。
身体が疲れていると筋肉にも力が入らないことが多く、いつも以上に腰の力が弱くなってしまっていて普段では痛めないようなことでも簡単に痛めてしまったのです。
なのでぎっくり腰を起こしてしまったという人は、全身の筋疲労が根っこにありますので、ゆっくり休んで少しずつ動かしながら筋肉の血流を高めていく必要があるのです。
ぎっくり腰になりやすい時期ってあるの?
あります。具体的には梅雨時と10月頃の寒くなり始めです。季節の変わり目や湿度が高く気圧が低いときもなりやすいです。
季節の変わり目は、自律神経の不調や免疫力の低下を引き起こしやすい時期ですので普段よりも筋肉が疲れやすくなり、関節を保護する力が弱くなります。そのため、ぎっくり腰を引き起こす確率も高くなります。
ぎっくり腰は繰り返すのか?
1度ぎっくり腰を経験すると再発する可能性があります。
数週間以内にまたやってしまう人や、一年に一度なるという人、数年に一度やってしまうという人がいます。一度痛めた場所が治りきっておらずまた痛めてしまうケースや、その近辺で新たに痛めてしまうケースもあります。
ぎっくり腰を繰り返しやすい人はどんな人?
- ぎっくり腰の治療をしっかりしなかった人
- 普段から腰をよく使う仕事の人
- 寝不足の人
- 運動不足の人
- 疲れやストレスが溜まりやすい人
- 肩や首が凝りやすい人
などが再発を繰り返しやすい人と言えます。
これらがある人は腰に負担がかかりやすく、また全身の耐久力も低下しやすいために再発を繰り返しやすいので注意が必要です。
ぎっくり腰にもう二度とならないために
ぎっくり腰をして一度、腰の筋肉を損傷して適切に治療せずに放置してしまうとその部分が硬くなってしまいます。筋肉というものは筋膜という膜で覆われていて、その筋膜は他の筋肉とも連結しているため、1か所が硬くなってしまうとその部分だけでなく他の部分まで硬くなってしまいます。そのため一度痛めた場所はしっかり早いうちに適切に治療しましょう。
そして普段から睡眠をよく取り、適度な運動をして、身体を疲れさせないようにしましょう。
季節の変わり目にはどうしても身体が弱くなります。その時期にハードワークや重要な場面(試験や会議など)がある場合は十分に注意し、暴飲暴食を避け、冷たい食べ物や飲み物ばかり摂取することは控えましょう。
ぎっくり腰は”全身の筋疲労がベースになっている”ことが多いです。そのことに注意を払い、疲れているなと感じた時は無理せず早めの対応を心がけましょう。それが再発予防の一番大切なことです。
まとめ
- ぎっくり腰は全身の筋疲労がベースになっていることが多い。
- 痛みがきついときは、まず安静にする。
- 安静にし続けるより動いている方が治りが早い。
- 重篤な病気や骨折の場合もあるので痛みがどんどん強くなる場合やまったく変わらない場合は必ず病院に行く。
- 痛めた場所は早めにしっかり治さないと再発の恐れがある。
- 再発予防のために日々の体調管理に気を付ける。
いかがだったでしょうか。
今回はぎっくり腰になってしまった瞬間の対策から今後二度とぎっくり腰にならないようにするまでの具体的な方法をお伝えしました。
自分の身体は大切な資本です。身体が元気でなければ、何もできません。
しっかり状態を戻して、元気で健やかな生活を送りましょう!
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